ラブドールの歴史
ラブドールとは、2000年代になりつくられた和製英語です。元をたどると、「リアルドール」(もともとは商標名)が語源。1996年に設立したアメリカの有限会社アビスクリエーションが初めてフレーム入りシリコン製のドールを開発し、爆発的人気を博すと、その熱はアメリカ国内にとどまらず世界へ伝わっていくこととなる。
日本国内では当時、ビニール製、ラテックス製などが主流。ダッチワイフ業界で品質技術知名度ともに抜きに出ていた老舗オリエント工業がいち早くシリコン製のドールの開発に着手し、2001年に国内初のシリコン製ドールを販売。販売開始から生産が追いつかないほどの注文が発生。日本国内でもシリコン製ドールの時代が始まる。
この辺りから「シリコン製ドール」=「ラブドール」という言葉が定着しはじめた。
国内ラブドール業界がひしめき合う2000年初頭
2002年~2006年になると国内ラブドール産業に各社こぞって参入してくる。
4woodsやartetokio(アルテトキオ)、LEVEL-Dなど質感やデザインにこだわりを持つ職人肌の会社の参入により、よりリアルなラブドールの開発合戦となってくる。ユーザーにとってメリットしかなく、いままで1強のオリエントから比較すると、価格大きさデザイン嗜好性など選択の幅が大きく増えることになる。
会社ではないが、個人の工房レベルでもクオリティの高い日本の職人の作品も目立ってきたのもこのころから。
新素材エラストマーの市場投入
2010年代に入るとシリコンに代わる新素材TPE(エラストマー)素材のラブドールが開発されてくる。
製造工程や素材の扱いやすさはシリコン製よりも優れ安価、業界に価格破壊が起こる。シリコン製ラブドールに比べ熱に弱い、耐久性に欠けるなどのデメリットはあるものの、50万~90万が主流だったシリコン製ラブドールに手が届かなかったユーザー層は多くTPE素材のラブドールも次第にシェアを伸ばしていく。
市場では、中国産TPEラブドールの台頭があり、クォリティも年々進化している。2011年に中国EXDOLL社のTPEラブドール発売から中国市場も過熱し、EXDOLL社は年間3000体以上を売り上げラブドール販売で上場まで果たす企業へと成長する。
よりリアルへの進化
2015年~現在。ラブドールということばがメディアやニュースでも少しづつ取り上げられ過度にアンテナを張っていなくても情報に触れる機会が多くなってきた。
技術の進歩は早く、作品のクォリティが年々進化。その進化は各社新製品を発表するたびに数段上がってくる。その進化はとどまることなく、いよいよラブドールにも「不気味の谷」を超える(※CGと人間の境)作品が出てくるのは時間の問題ではないだろうか。それほど人間の造形に近い作品が出始めている。ファンとして職人達の技術と思いに期待せずにはいられない。
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